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男子30代なる年(軌跡)
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グーグルによるYouTube買収とWeb2.0無料経済の普及
グーグルによるYouTube買収とWeb2.0無料経済の普及
http://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/0610/25/news01.html
グーグルがYouTube買収を発表し、マスコミ界を中心に米国の著作権に対する見方そのものに衝撃が走りました。一方で、Web2.0というインターネット革命が世界中を震撼させ始めています。この双方が関係して歴史は大きく動き出しているのです。技術論だけではなく経済的な側面からみると、実は大きな一歩が見えてきます。
 Web2.0というインターネット革命の新しい妖怪が世界中を震撼させ始めています。しかし、これまでの議論は大部分が単なるIT視点の技術論でしかなく、その経済的な側面に関しては、我が国ではほとんど何も語られていません。そこで本稿では視点を変えて、Web2.0と言われるIT技術の変革が経済面に与えるインパクトを考えてみましょう。

 我が国では本年9月にミクシィが上場を果たしました。面白いことにミクシィの収益は、その8割が広告費だけに支えられています。これがWeb2.0経済の一例であると考えられます。

Web2.0の基本は無料経済
 Web2.0の経済面からの特徴は、インターネット上で自己表現をする大量のボランティアと広告料に支えられた無料経済であると考えられます(欧米では無料経済という認識はかなり広まり始めています)。

 英語ではCGM(コンシューマー・ジェネレーテッド・メディア)と呼ばれる大衆表現社会が、Web2.0のボランティア的な側面をよく表しています。Web技術の発達の結果、インターネット上で穏やかな環境が出現し、多数の市民による自己表現や社交が簡単になり、飛躍的に進み始めています。ブログやSNSブログなどの投稿をはじめ、消費者市民により知識や情報、音楽、動画などが、どんどん無料で提供され始めています。

 またWeb2.0は消費者視点で見れば、広告費に支えられた無料経済です。色々な予測がありますが、2010年頃までには広告費のおおむね10%がマスメディアからインターネットにシフトすると考えられています。世界中の広告費は総額約50〜55兆円と言われているので、その1割がインターネットにシフトしても大変な金額です。

 そして、このお金はボランティアによる無償投稿を支えるだけでなく、これまで著作権に守られてきたプロフェッショナルが作成し、企業が販売する書籍や音楽、映画、地図、ビジネスソフト、ドラマなど情報系の商品、サービスなどを無料化する圧力を強めています。

 この無料化の圧力はさらに固定や携帯電話にも及び始めています。筆者はWeb2.0をネットの福祉と捉え、その本質を電網共産主義と考えています。広告費のインターネットシフトは最終的には20〜30%まで進むでしょう。

 これまでは、その代表企業が情報検索のグーグルでした。

2010年に向けた可能性が高いシナリオ
 現にWeb2.0の代表企業である情報検索サイトの米国企業グ−グルは、最近、動画サイトのYouTubeを16.5億ドルで買収して話題になりましたが、世界中の図書をインターネット上で無料提供する試みを始めています。

 百科事典で有名なブリタニカは、ボランティアが作成する無料辞典のWikipediaに市場を奪われてしまいました。情報関連の商品やサービスは、すべからくこのWeb2.0というサービス無料化への強い圧力を避ける事はできないと思われます。

 かつて銀行は金利で収益を上げていました。しかし、バブル崩壊後の現在の銀行は手数料で収益を上げています。明らかにビジネスモデルが変わったわけです。Web2.0経済の下では、多くの産業でこれと同じ事が起こります。レコード会社がライセンス料の代わりに広告で収益を稼いだり、ソフトウェア企業がライセンス料ではなく広告で収益を上げたり、電話会社が電話料金ではなく広告費で収益を上げるといった事が起こります。ビジネスモデルが激変する可能性があります。これは放送局や新聞社、雑誌社などのマスコミ、大手の広告代理店にも当てはまります。

 ネット配信における技術革新が加速すれば、DVDの規格競争自体も陳腐化するでしょう。そうなれば90年代の不況からようやく脱した日本メーカーには、再び苦しい時代が迫っています。

 マスメディアからインターネットへの広告費のシフトが加速すれば、マスコミや広告産業にもかつての「商社や金融冬の時代」が訪れ、産業の再編成が起こる可能性が高まります。

 その一方でミクシィやはてなのような社交や大衆表現を重視するネット企業が、大きく成長します。米国ではマイスペースやグーグル、YouTubeが脚光を浴びる一方で、これまでインターネット広告の中心だったYahooの広告費の伸びに陰りが出始めています。

グーグルによるYouTube買収の衝撃
 10月初旬に発表されたグーグルによるYouTube買収は衝撃的でした。なぜかと言えば、この買収により米国のレコード業界や放送業界の著作権に対する見方が根本的に変化したからです。

 米国スタンフォード大のレッシグ教授は、クリエィティブ・コモンズと呼ばれるインターネット上の新しい「村の入会地」を提唱し、そこでは一部の著作権は創造者が留保するけれども、クリエィティブ・コモンズのCCライセンス下ではお互いに無料で自由に活用しあうという新しい著作権の考え方を打ち出しています。欧州中世におけるコモンズ=「村の入会地」では、村人が仲良く放牧や果物の採集を行い、フォークダンスなど村の祭りも催される穏やかな環境でした。

 Web2.0はインターネット上に穏やかなコモンズ=「村の入会地」を作り出したと考えられています。そして消費者市民の作るブログや動画投稿に関しては、何の問題もなく受け入れられてきました。しかし問題は、そこにプロフェッショナルが作成し、企業が販売する商品である音楽、ドラマ、映画、書籍、ビジネスソフト、電話サービスなどが巻き込まれ始めた点です。

 これが最も先鋭に表面化していたのがYouTubeのサービスでした。米国では既にYouTubeの著作権違反を巡る裁判が起こっていますが、日本からも大量のテレビドラマが無断で投稿され、「著作権違反だ、第2のナップスター事件だ」と大騒ぎになりました。

 しかし今回のグーグルによるYouTube買収を受けて米国では和解が成立し、レコード業界や三大テレビネットワークと戦略的な提携が成立しました。分かりやすく言えば、マスコミ側が実質的に著作権を一部放棄し、クリエィティブ・コモンズによるCCライセンスの思想や哲学を受け入れたわけです。何と悪名高いナップスター文化が受け入れられたわけです。

 その代わり、レコード会社やテレビ局はYouTubeに投下される広告費の一部を収益として手に入れることになりました。ライセンス料ではなく、広告費で稼ぐ新しい時代のビジネスモデルが始まりました。

 これをレッシグ教授は、RW文化(Read Write文化)と呼び、従来からある著作権規制の厳しいアップルのiPodやITMSなどの古いRO文化(Read
Only文化)と区別しています。RW文化(Read Write文化)は明らかにナップスター文化です。

 Web2.0ではマッシュアップとかリミックスという耳慣れない用語がはやっていますが、全て音楽の用語です。既存の色々な音やリズム、メロディを組み合わせて個々人の好む編曲を自由に行うというコンセプトなわけですね。

 今後市民消費者はグーグルやYouTube上で比較的自由にマッシュアップができます。自宅の猫の動画にビートルズの曲を載せて投稿しても構わない世界がやってきました。

 グーグルによるYouTube買収によりWeb2.0というボランティアと広告費による無料経済が大きく前進しました。ベルリンの壁が崩れ落ち、歴史が動きました!

(野村総合研究所 社会ITマネジメントコンサルティング部 上席研究員 山崎秀夫)
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